Essay1 水辺の少年に帰ろう – カワセミの街、佐賀。

カワセミの街、佐賀。

 三年半前、佐賀に居を構えて嬉しかったのは、佐賀がカワセミによく出会える街であることがわかったからだった。赴任してすぐの徒歩通勤の朝、県庁前の横断歩道で信号待ちをしていた時に、カワセミの鳴き声が聞こえてきた。歩道を急いで渡り、お堀端を探すと一羽のカワセミが石垣に止まって獲物に狙いを定めようとしていた。先を急いでいたので狩りの結果までは確かめられなかったが、この出会いでたちまち私は佐賀の街が好きになった。以来私は暇な時に佐賀市内を徒歩で回り始めた。そして休日にはカメラを提げて・・。土地勘を早くつかみたいことと、カワセミとの出会いを期待してでもあった。城下町佐賀市街には水路が複雑に入り組んでおり、車でうかつに路地に入り込むと行き止まりになり進退窮まることがある。徒歩だと抜け道を通りスムースに移動できるし、思わぬ場所に水辺を見つけたりできる。

 カワセミに効率よく出会うコツ。第一は餌となる小魚が多い水辺周辺を歩くこと。そこが清流である必要はない。佐賀市内でも水が澄んでいて魚影が濃い松原川ではめったにカワセミを見かけないが、流れの弱いお堀や澱んだクリークで見かけることは多い。第二はカワセミの鳴き声を聞き分けられるようになること。カワセミの声は鋭くて、遠くからも聞き分けられる。私は、移動中の声、狩りの声、仲間に呼びかける声の三種類は区別ができるようになった。声がしたら、その方向を見定めて近づけばよい。最後は、カワセミが止まりそうなポイントを知ること。岸辺の石垣や杭の上、蓮の枯れ茎や小枝の先など獲物を見つけてダイビングしやすい場所にいることが多い。春や秋に見かけた場所でも、水草がびっしりと水面を覆っている夏場には探しても無駄になる。

メスのカワセミ、下のくちばしがオレンジ。
[佐賀城公園南堀にて2016年12月撮影]
オスのカワセミ、くちばしが上下とも黒。
[佐賀城公園西堀にて2017年2月撮影]

 
 「かなり野山を歩き回るけど。まだ一度もカワセミにであったことがない」とおっしゃる人もいるが、先ずは鳴き声を覚えてほしい。最近ではインターネットで検索して聞けるようになった。後は経験を重ねるしかない。鳴き声を知っていると市街地の中心でも見つけることがある。歓楽街の裏を流れる十間堀川から「ツィー」とひと鳴きしながら、私の頭上を越え渋滞の上を飛び去っていくのを見たこともある。もちろん昼間の事だが。

 佐賀市街でよく見かけるのは秋から冬、そして春先までである。営巣期間に入ると、それまで見かけた場所にも姿を頻繁には見せなくなるようだ。もちろん全く見かけなくなるのではなく、佐賀城公園南堀では朝の徒歩出勤時に移動中の姿を見かけるし、鳴き声も聞こえてくる。不思議なことに暑い昼間はめったに出会えない。カワセミは土手に深い横穴を掘り、その奥に産座をこしらえて子育てをするらしい。クリークや水路の多い佐賀市内には、まだ土の岸辺が数多く残っているからカワセミの姿も多いのだろうか。「カワセミの街佐賀よ、永遠に」である。

[文・写真]
川古川水童 (かわごがわすいどう)

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