Essay2 水辺の少年に帰ろう – ミサゴ、襲来。

 冬場の佐賀城公園お堀端を散策していると、水面にいたカモたちが突然騒ぎ立てていっせいに離水していくことがある。ほぼ同時にカラスたちが近くの梢から飛び立って鳴きながら一つの方向へ向かっていく。その行先を追うと、猛禽類のタカの仲間「鶚」が低空で来襲してきており、カラスたちは果敢に迎撃に向かっているのである。

 この状況に遭遇すると、私はかつて見た戦争映画の一シーンを思い浮べてしまう。爆撃編隊が敵の飛行場を襲うとき、地上機は我先に離陸して戦闘機以外は上空に避難しようとする。そして戦闘機は爆撃を阻止しようと迎え撃ち空中戦を展開する場面である。もちろん佐賀城公園のお堀上空に飛来するミサゴの目的は爆撃ではなく、水面近くを泳いでいる魚である。獲物を見つけると見事な急降下で突入し、水しぶきを上げ鋭い爪で獲物をキャッチしようとする。佐賀城公園で犠牲になるのは大きな鯉が多いようである。カモたちが襲われることはまずないであろうに避難するのは、ミサゴ以外の天敵である猛禽類に対する本能的な反射からであろうか。山間地の池で何度か目撃したことがあるが、ノスリやハヤブサなどの猛禽類の姿が上空に現れると、カモたちは岸辺の茂みの陰に隠れるか、隠れ場所が無い場合はいっせいに飛び立って逃げ去る。猛禽類から襲われるリスクが高いのは、十分にスピードが出ない水面から離れた直後であるようだ。飛行機の場合も同じである。

大きな鯉をゲットし上昇に移るミサゴ。
[佐賀城公園西堀、2016年12月撮影]
水面の獲物を探すミサゴ。
[佐賀城公園西堀上空、2016年12月撮影]

 
 カラスはなぜ迎撃に向かうのであろうか。ミサゴの大きさは両翼を広げると一・五メートルを超える。大きさでは比ではない。ミサゴ以外に佐賀市内の上空で見かけるカラスの迎撃シーンは、トビ、チョウゲンボウ、そしてその他のタカ類に対してである。タカ類の姿を見かけることが多くなる冬場に、上空で数羽のカラスが鳴きまわる声がして見上げると空中戦を目撃することがある。これらの猛禽類はカラスの卵やヒナを狙う天敵だから、攻撃性の強いカラスは天敵が縄張りに侵入してくると、数羽で執拗に迎撃し縄張りの外へ出ていくまで追い回すのだろう。しかし執拗すぎて逆襲に遭い必死で逃げ回るカラスを撮影したこともある。お堀のカモたちはミサゴの性格を知っているのか、自分たちが浮いている水域上空を飛び去ると、またいっせいに水面に降りてくる。

 ミサゴは佐賀市郊外のクリーク上空にも定期的にやって来る。有明海に注ぐ河川の河口近くも目撃しやすい場所である。佐賀城公園のお堀で出会いを期待するなら、ミサゴの気持ちになることである。上空から魚がよく見えキャッチしやすい時であろうか。晴れた風のない穏やかな日。波も立たず暖かい水面近くで魚の動きも鈍い冬場は、水面を覆う水草もなくミサゴにとっては好適な狩り日和であろう。ちなみに英名はオスプレイ、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種である。

[文・写真]
川古川水童 (かわごがわすいどう)

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