Essay5 水辺の少年に帰ろう – 青い鳥を探して。

私の青い鳥はルリビタキの雄である。
もうそろそろやって来てはいないかと気になりだすのは、市街地で「ヒッヒッ・・」とジョウビタキの鳴き声が聞こえだすころ。

つまり冬の気配が漂い始めるころである。ジョウビタキは市街地のいたるところにも顔を見せる見慣れた野鳥だが、同じヒタキ科のルリビタキは街中では出会えない。

山間地の灌木などからひょっこり目の前に美しい姿を現して、さっとやぶの中に隠れてしまう。ハッと気づいて探すのだが、同じ場所にはもういない。
しばらくすると少し離れた小枝などに止まって尾羽を振り振りこちらを見ている。本当は私が近づくのを警戒しているのであろうが、私には「おいでおいで」と誘っているように思えてそっと近づく。
しかし彼の警戒間合いの内に入るとすっと葉陰に消えてしまう。がっかりして戻りかけると、接近する前に私がいたあたりの枝に止まってまた尾羽を振っているのである。
ルリビタキはいつも灌木の葉陰を忍者のように移動する。

■目がぱっちりとして愛らしい雌。
■雄の背中は鮮やかな瑠璃色。

 
この数年毎冬ルリビタキに会えるようになった。出会うコツがわかったからである。見つかるのは山間地のため池や渓流などの水辺近くに灌木がある場所。
灌木の間を移動して羽虫や木の実などのエサを探しているようだ。ひと冬は同じ場所を中心に縄張りを持つようで、一度見つけたらその場所に行くと出会う可能性は高い。
しかも一度出会った場所の近くには二、三年は続けて現れる(同じ個体がどうかは不明だが。

「ヒッヒッ・・」という鳴き声を耳にしたらチャンス。ただ数に勝るジョウビタキが現れてがっかりすることも多いが・・。
すぐ近くの藪の中から「カッカッ・・」と低い声がしたらそれは警戒音である。
その場に静かにたたずんでいると、警戒心を解いたのかルリビタキが姿を現してくれることがある。

■雌は地味だが尾羽に美しい瑠璃色がある。

だが時にはルリビタキの雌が姿を現すこともあるので見逃さないでほしい。ジョウビタキの雌にそっくりで地味な羽色をまとっている。
尾羽に数筋のきれいな瑠璃色があるのがルリビタキの雌の印。ジョウビタキの雌とはそこが違う。
メスはどちらも一見地味だが可愛いつぶらな瞳には魅入られてしまいそうで、メスの瞳がうまく撮影できた時には嬉しくなってしまう。
初冬には警戒心が強かったオスも、春が近づくころには大胆になり近くに来てしばらくは動かないことがある。

そのときこそ撮影チャンスだ。そして山桜が咲き始めるころにどこかへ去っていく。

[文・写真]
川古川水童 (かわごがわすいどう)

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