ユネスコ無形文化遺産に登録された見島のカセドリ

地区で大切に継承してきた神事住民の心とともに次代へ繋ぐ。

2018年11月29日、佐賀市蓮池町で続く「見島のカセドリ」が、
国内8県10件の伝統行事で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」として
ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
見島地区の住民が大切にしてきた神事とは?
見島カセドリ保存会の武藤隆信会長にお話を伺いました

 
2月の第2土曜日は、佐賀市蓮池町見島地区の住民にとって特別な日です。350年以上もの長きにわたり、「見島のカセドリ」という民俗行事が行われているのです。
この神事が「来訪神 仮面・仮装の神々」の一つとしてユネスコの無形文化遺産に登録され、広く知られることとなりました。来訪神とは、神に扮した者が各家を訪問することです。見島では、独身の青年2名が神のつかいカセドリに扮して家々を訪問します。
行事は地区にある熊野神社から始まります。神社での儀式では、カセドリに扮した青年が、笠や藁蓑をまとい、先端部分を細かく割った青竹を床に激しく打ち付けます。静寂の中、「ガシャガシャガシャ」と打ち鳴らすその音には、家内安全、五穀豊穣の願いが込められています。神社での儀式が終わると、地区内の家々を訪問して儀式を行います。

神社本殿での儀式の様子。カセドリに扮した男性が俯いて竹を鳴らす時、
顔を見ることができたら、良いことがあると言い伝えられている

 
時代の変化で平日だと仕事が休めず、住民の都合が合わせづらくなり、本来は毎年2月14日だったが、毎年2月の第2土曜日に行われるようになりました。
地区だけでひっそりと厳かに行われてきた「カセドリ」ですが、市や県、国の重要無形民俗文化財に指定され、外部への対応が増えてきたことを機に、「カセドリ保存会」が発足し、市の教育委員会と連携しながら組織として機能するようになりました。武藤さんは、寺のお勤めのかたわら、保存会の活動にも精力的に携わっています。
「会をしっかりと運営することで、若い人たちには心置きなく行事を務めてもらえたらと思っています。会の年配者はバックヤードのつもりで見守っています」。
これまで口伝で守られてきた神事の準備から当日の決まり事まで、事細かに図解で示したマニュアルを武藤さんが作成しました。工業高校の教師だったこともあり、その図解は明瞭でとても見やすいものになっています。
「我々の中でも推定でやっていた部分を、歴史背景も踏まえて文字や図形で書式化したのです。継承していくにあたって生かされていくと思います」。


 
 地元の芙蓉校小学部3年生を対象に、カセドリなど町内の伝統行事について学ぶ授業を毎年行っています。藁蓑に模した装着着を手作りしたり、訪問する側、迎える側に分かれての模擬体験授業を行い、子供たちの目も生き生きしています。
 「カセドリ当日は3年生を招待して生の行事を見学してもらっています。地区だけの神事ですが、ユネスコに登録までされて、地区の若者も意識が変わってきました。多くの人に見てもらうための行事ではないのが特徴ですが、将来的にはカセドリのことを知ることができる場があれば」。と未来の構想も話してくれました。珍しい民俗行事の価値を多くの人に知ってもらうには、こうした発信も必要なのかもしれません。武藤さんは、「カセドリは私たちにとっては空気のようなもの」と言います。その言葉の裏に、見島の人間だけに託されている責任と誇りが見えました。

カセドリの儀式が行われる本殿
昨年、鳥居の表札が落下して新調された

 
 


《見島のカセドリ》
2019年2月9日(土) 毎年2月第2土曜日
佐賀市蓮池町見島地区熊野権現社周辺地区の
神事につき、見学の際はマナーを守ってください。


《Profile》
武藤隆信(むとうたかのぶ)さん
佐賀市蓮池町生まれ。盛林寺住職。高校で教鞭をとり、退職後は交代制ではあるが、カセドリ保存会会長に就任。

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