Essay9 水辺の少年に帰ろう – あなたのそばにもウグイスは来る。

※写真はいずれも2015年12月に佐賀市内松原川沿いで撮影

春から夏にかけて、 野山で美声を競うウグイス。 「ホ〜ホケキョ ・ ・ 」 を知らない人はいないと思うが、 あれは繁殖期のオスの鳴き声で、 普段の鳴き声はとても地味である。
初冬になると、 エサを探して市街地にもたくさんやって来ていることを気づかない人が多いようだ。 川や堀の周囲にある植栽の中を、 あるいは民家の生垣で 「チャッチャ、 チャッチャ、チャッチャ ・ ・ ・ 」 と低い声が移動している場面に出くわしても、 それがウグイスの地鳴きだとは思わないからだ。 しかも平地にやって来たウグイスは警戒心が強く、 葉陰を枝から枝へと移動して姿はめったに見せない。
ウグイスの主食は小さな昆虫類で、 地表から低く伸びた生垣や藪の中に多い小昆虫類を探し回っているようである。 一つのブロックを探し終わると急に飛び出して、 近くのまた別の生垣などへ瞬時に移動する。 その姿を見かけた人が何の鳥かも判断できないくらいに素早い行動である。 ウグイスの姿をカメラに収めるには、 地鳴きが聞こえる生垣などのそばで気配をひそめてカメラを構え、 近づいてくるウグイスを待ち伏せすると可能性が高くなる。 その時に自分の存在を気づかれないようにすることが肝要である。 運が良ければ、 葉陰からひょいと顔を出して、 生垣の外側の枝でエサ探しを始める姿をものにすることができる。

同じ川べりの楓の木に止まってエサを探す姿

同じ川べりの楓の木に止まってエサを探す姿

エサの少ないころには、 葉陰から飛び出して水辺の石垣に潜む昆虫や、 植木の枝を丹念にチェックし動き回ることがある。 こんな場面にカメラ持参で遭遇したら超ラッキーと神様に感謝したくなる。 身を隠す葉陰もない場所でエサ探しに夢中になるので、 驚かさない限りじっくりと撮影できるのである。 昆虫が見つかりにくい時には、 木の実や種子などもエサにするらしい。 一度だけだが庭木に刺した蜜柑を食べに来たウグイスを撮影したことがある。 ヒヨドリやメジロが入れ代わり立ち代わりやって来るのでカメラを構えていたら、 合間を縫って一羽のウグイスが恐る恐る飛んできて蜜柑をついばんでいた。 すぐにヒヨドリが飛来したので逃げ去り、 その後は見かけなかった。

川べりの石橋の上で蜘蛛を捕まえたところ

川べりの石橋の上で蜘蛛を捕まえたところ

「梅にウグイス」 という言葉がある。 取り合わせが良く、 似合っているもの同士の代表みたいな例えだが、 私は、 いまだにウグイスが梅の花どころか何かの花の蜜を吸う場面には出くわしたことがない。 梅の花にはメジロやヒヨドリなら撮影に困らないほどやって来て花から花へと飛び回り、 賑やかに囀りながら蜜を吸いくちばしを花粉で黄色に染めている。 だが残念ながらこの歳まで、 梅の枝で 「ホーホケキョ」 と鳴くウグイスに出会えるチャンスがないのである。

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